【実体験】フリーランスの退職金はこう作る|小規模企業共済で“自分の退職金制度”をつくる方法

目次
フリーランスや個人事業主には、会社員のような退職金制度がありません。 働けるうちはいいけれど、仕事を辞めた瞬間に収入がゼロになる――。 僕自身も独立した当初、「将来、退職金ゼロで大丈夫なのか?」という不安をずっと抱えていました。
そんなときに出会ったのが小規模企業共済。 2015年に加入し、2025年現在で約10年・積立残高140万円。 この記事では、実際に10年間続けて感じたリアルなメリット・デメリット、そして僕なりの活用法を正直にお伝えします。
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第1章|フリーランスに退職金がないという現実
会社員は退職時に企業から「功労金」として退職金を受け取りますが、 フリーランスや個人事業主にはその仕組みが存在しません。 つまり、自分で退職金を作らなければ誰も作ってくれないのです。
僕が独立して数年が経ったころ、周囲の会社員が「退職金でマイホームを一括購入した」と話しているのを聞き、 「自分にはそんな安心材料がない」と痛感しました。 そのときに真剣に探し始めたのが「退職金代わりになる制度」でした。
第2章|小規模企業共済とは? ― フリーランスのための“国の退職金制度”
小規模企業共済は、中小機構(国)が運営する制度で、 フリーランス・個人事業主・小規模法人の経営者が「自分の退職金」を積み立てることができます。
- 掛金:月1,000円〜70,000円(500円単位で自由に変更可能)
- 掛金は全額所得控除(節税メリット大)
- 廃業・引退時に「退職金」として受け取れる
- 一時金または年金形式での受取を選択可能
つまり、退職金制度のない人のための退職金制度。 これを早い段階で知れたことが、僕にとって大きな転機になりました。
第3章|僕が10年間続けて感じたメリット
① 掛金が全額控除される(確定申告で節税)
小規模企業共済の掛金は、すべて所得控除の対象になります。 たとえば、月3万円積み立てれば年間36万円が所得から控除され、所得税・住民税が下がります。
僕は、収入が高かった年だけ掛金を増額し、 「節税しながら退職金を作る」戦略として活用していました。
② フリーランスにとって“退職金の代わり”になる安心感
フリーランスは、将来の保障が少ない働き方です。 だからこそ、「引退時にまとまったお金が戻ってくる」という安心感は大きい。 実際に10年続けてきて、“守りの資産”としての存在価値を強く感じます。
③ 収入に応じて柔軟に調整できる
年ごとの売上や利益に合わせて、掛金を増減できます。 好調な年は満額の7万円、厳しい年は1万円など、ライフスタイルに合わせて調整できる点が長続きの秘訣でした。
第4章|デメリットもある ― 実際に感じた3つの注意点
① 資金拘束が強い(60歳まで自由に使えない)
最も大きな弱点は、自由に引き出せないこと。 原則60歳までは解約できず、途中で解約すると元本割れリスクがあります。 フリーランスは収入の波があるため、この点はかなり慎重に考える必要があります。
② 元本割れリスク(20年未満の解約)
20年未満で解約すると「解約手当金」となり、 受け取れる金額が掛金総額を下回る可能性があります。 短期利用には向かない制度です。
③ 制度改正リスク
国が運営している安心感がある一方で、 将来的な制度変更や税制改正の影響を受ける可能性もゼロではありません。 「掛けすぎない・依存しすぎない」バランスが重要です。
第5章|僕の10年実績と、2025年からの方針
2015年に友人のすすめで加入し、10年間で約140万円を積み立ててきました。 年収に応じて増減させながら、無理のないペースで継続。
しかし、2025年以降は掛金を月1,000円(年12,000円)に減額しました。 理由は明確です。
- ① 資金拘束を避けたい:自由に使えない資金を減らし、新NISAで流動性を確保
- ② 制度参加権を維持:最低額でも掛けておけば「加入資格」と退職所得控除が維持される
- ③ 節税より安心感:iDeCo・新NISAを優先し、より自由な投資を重視
- ④ 借入制度を使わない:掛金を担保にした貸付制度は利用予定なし
結論:「制度は残すけど、資金は縛らない」。 これが僕のスタンスです。
第6章|小規模企業共済の上手な使い方(実践型)
- iDeCo・新NISAを“攻め”、共済を“守り”として活用
- 節税目的で収入の多い年だけ増額
- 最低額1,000円でも制度参加権を維持
- 掛けすぎず「退職金の座席を確保する」意識で
小規模企業共済は、「守り」の制度。 税金を減らしながら、将来の自分に“ボーナス”を積み立てる感覚で活用するのがちょうどいいです。
第7章|まとめ ― フリーランスにとっての退職金づくりとは
小規模企業共済は、フリーランスにとって数少ない「退職金を作れる制度」です。 しかし、流動性が低い=資金が拘束されるという性質もあります。
だからこそ、iDeCo・新NISA・小規模企業共済のバランス設計が重要。 僕は、iDeCoと新NISAを主軸に資産を増やし、共済は「守り」として最低額を継続しています。
無理なく、長く続けられる設計が、フリーランスの安心につながると思います。
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執筆者
レオン兄さん
個人事業主・フリーランス歴12年。現在の総資産は2,000万円、新NISA・iDeCo・小規模企業共済などを活用しながら、実体験ベースで資産形成を継続中。ホームページ制作やマーケティング支援をメインに活動中。ココナラ累計売上は1,400万円を突破。
私と同じ、個人事業主・フリーランスの方に向けて、お金を稼ぐ・守る・増やす、そして、生き残るために、私が学び体験したお金の知識や情報を発信しています。