フリーランス退職金 完全ガイド|小規模企業共済×iDeCo×退職所得控除“10年ルール”の最適解

フリーランスの退職金

フリーランスや個人事業主には、会社員のような退職金制度がありません。 働けるうちはいいけれど、仕事を辞めた瞬間に収入がゼロになる——。 僕自身も40歳を超えてから「このままで老後資金は足りるのか?」と不安を感じるようになりました。

そこで見えてきた答えが、小規模企業共済 × iDeCo × 退職所得控除という三本柱の設計です。 この記事では、フリーランスが“自分の退職金を設計する”ための全体像と最適な仕組みを、初心者にも分かりやすく解説します。

👉 実際に10年間加入したリアルな体験談はこちら:
【実体験】フリーランスの退職金はこう作る|小規模企業共済で“自分の退職金制度”をつくる方法

第1章|なぜフリーランスには退職金がないのか?

会社員の退職金は、企業が任意で積み立てる社内制度です。 一方、フリーランスや個人事業主は雇用契約を結ばない働き方のため、 「退職金を受け取る仕組み」自体が存在しません。

厚生労働省の調査によると、民間企業の退職金の平均は以下のとおりです。

勤続年数平均退職金額
20年約1,200万円
30年約1,800万円

つまり、会社員は知らず知らずのうちに「老後資金のベース」を得ているのに対し、 フリーランスはゼロから自分で退職金を作る必要があるということです。

第2章|退職金を自分で作る3つの柱

フリーランスが老後資金・退職金を準備するための主要な制度は、次の3本柱です。

役割主なメリット
小規模企業共済国が運営するフリーランス退職金制度掛金全額が所得控除/退職所得控除で受取可
iDeCo個人型確定拠出年金掛金全額控除+運用益非課税+受取時控除
新NISA非課税の長期投資枠利益非課税/いつでも引き出せる自由度

3つをうまく組み合わせることで、節税・運用・受取の3段階で税制メリットを最大化できます。

第3章|小規模企業共済の“10年ルール”を理解する

小規模企業共済は、加入10年以上で「退職金」扱いになります。 10年未満で解約すると「解約手当金」となり、課税+元本割れのリスクがあります。

加入年数受取区分税制上の扱い
1〜10年未満解約手当金雑所得(課税)
10年以上共済金(退職金扱い)退職所得(優遇)

💡途中で掛金を減額しても「加入年数」は継続します。 つまり、最低1,000円でも“10年の座席”を維持することが、退職所得控除を活かす鍵です。

第4章|退職所得控除の仕組みと非課税ライン

退職金を受け取るときに使える大きな税制優遇が「退職所得控除」です。

勤続・加入年数控除額
20年以下40万円 × 年数
20年超800万円+70万円 ×(年数−20)

例:25年加入 → 800万円+70万円×5=1,150万円まで非課税。 つまり、長期継続すれば1,000万円以上の退職金を非課税で受け取れる可能性があります。

第5章|iDeCoとの組み合わせで“節税と受取”を最大化

iDeCoは、個人が自分で積み立てて運用する年金制度です。 掛金全額が所得控除、運用益は非課税。 ただし60歳まで引き出せないという制約があります。

比較項目小規模企業共済iDeCo
掛金控除全額全額
運用益非課税(預金・貸付型)非課税(投資型)
受取時退職所得控除退職所得控除 or 公的年金控除
引き出し自由度10年未満で損60歳まで不可

💡ポイント: 共済を「退職金」扱い、iDeCoを「年金」扱いで受け取ることで、 退職所得控除+年金控除を重複活用できます。

第6章|僕の現実的な掛金バランス(実例)

僕自身は、2025年から以下のバランスに設計を変更しました。

  • 小規模企業共済:月1,000円(制度参加権を維持)
  • iDeCo:満額(月68,000円)を積立
  • 新NISA:つみたて+成長枠で月200,000円運用

満額で投資できる間は積極的に運用し、 資金が減ったら iDeCo満額+NISA年間100〜150万円に調整予定です。

共済は「節税はできるけど運用効率が低く・流動性がない」ため、 今後も最低額で継続する方針にしています。

第7章|20年・30年先を見据えた設計プラン(モデル別)

プラン継続年数主軸制度想定積立総額税・運用メリット
A10年iDeCo+新NISA約1,000万円控除+非課税益(初期設計)
B20年iDeCo+NISA+共済1,000円約3,000〜4,000万円節税+非課税(安定基盤)
C30年同上+課税口座投資約6,000万円超複利最大化/FIRE視野

共済は10年以上で元本割れ防止+退職所得控除対象。 成長エンジンはiDeCo+新NISAで、課税口座は“流動資金ポケット”として活用します。

第8章|よくある質問(FAQ)

Q1. 小規模企業共済を最低額にしても意味はありますか?

あります。10年以上継続すれば退職所得控除を適用できるため、 最低額でも制度の“席”を確保しておくことに意味があります。

Q2. iDeCoと新NISA、どちらを優先すべき?

短期〜中期の資金自由度を重視するなら新NISA、 老後資金の安定積立を重視するならiDeCo。 多くのフリーランスにとって併用+現金余力確保が最適です。

Q3. 法人化した場合はどうなりますか?

個人事業主時代の共済はそのまま継続可能です。 退職時に共済金を受け取る際、退職所得控除が適用されます。

Q4. 途中解約したらどうなりますか?

10年未満の解約は元本割れ+課税扱いになります。 掛金を減額してでも10年以上続ける方が有利です。

第9章|まとめ ― フリーランスの退職金は「制度×自由度の設計」

会社員のように退職金をもらえないフリーランスこそ、 自分で退職金の仕組みを設計する必要があります。

  • 節税と老後資金づくりを両立:共済+iDeCo
  • 自由度と成長を確保:新NISA
  • 「守り」と「攻め」のバランス設計で将来の安心を構築

僕自身、10年間で共済を積み立て、現在はiDeCo+新NISAを主軸に運用しています。 資金の自由度を保ちながら、老後への投資も進める—— それが、フリーランスにとって最も現実的で安心な「退職金の作り方」です。

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【実体験】フリーランスの退職金はこう作る|小規模企業共済で“自分の退職金制度”をつくる方法

小規模企業共済を最低額にしても意味はありますか?

あります。10年以上継続すれば退職所得控除を適用できるため、
最低額でも制度の“席”を確保しておくことに意味があります。

iDeCoと新NISA、どちらを優先すべき?

短期〜中期の資金自由度を重視するなら新NISA、
老後資金の安定積立を重視するならiDeCo。
多くのフリーランスにとって併用+現金余力確保が最適です。

法人化した場合はどうなりますか?

個人事業主時代の共済はそのまま継続可能です。
退職時に共済金を受け取る際、退職所得控除が適用されます。

途中解約したらどうなりますか?

10年未満の解約は元本割れ+課税扱いになります。
掛金を減額してでも10年以上続ける方が有利です。

執筆者

レオン兄さん

レオン兄さん

個人事業主・フリーランス歴12年。現在の総資産は2,000万円、新NISA・iDeCo・小規模企業共済などを活用しながら、実体験ベースで資産形成を継続中。ホームページ制作やマーケティング支援をメインに活動中。ココナラ累計売上は1,400万円を突破。

私と同じ、個人事業主・フリーランスの方に向けて、お金を稼ぐ・守る・増やす、そして、生き残るために、私が学び体験したお金の知識や情報を発信しています。